第12回
有限会社山神材木店
(神戸市兵庫区下沢通5丁目)
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こんにちは牧牛(ぼくぎゅう)です。
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今回の訪問先は神戸市兵庫区下沢通5丁目1番5号の(有)山神材木店(やましんざいもくてん)さん、
応対して下さったのは社長の久保修三さんです。
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お邪魔したのはゴールデンウィーク最後の土曜日の午後。
東日本大震災という未曾有の大地震・大津波が発生した今年の日本は春の訪れも遅く、
関西も5月になってやっと春めいてきました。
神戸市兵庫区も平成7年の阪神・淡路大震災では大変な被害があったところです。
来客中だった久保社長とのインタビュー前に事務所で執務中の上品なご婦人[のちほど久保社長の叔母上・出田等子(いずた・しなこ)さんと判明]から震災当時の模様を伺いました。
「大変揺れましたが 倉庫にあったたくさんの木材が支えになって家は助かりました」
とのこと。
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余談が長くなりました、本題に移ります。
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(有)山神材木店は昭和26年に現社長のお父上久保一三氏が当地で創業されました。
大正10年生まれの久保一三氏は数年前に他界されていますが、
播州は山崎の出身。
神戸の南商店で修業のあと独立されました。
「今年で創業60年になります」
と久保社長。
「山神」という屋号は「山崎出身と神戸の材木屋」が由来です。
創業当時から現在に至るまで仲買業に徹している。
つまり大工・工務店さんを得意先にして木材等を販売しているのです。
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久保修三社長は昭和24年生まれで牧牛と同学年、団塊世代最後の塊です。
名前は修三ですがご長男です。
中学・高校・大学と一貫して関西学院に学び、
昭和47年関西学院大学法学部卒業後は大建工業に入社されました。
ところが大学2年の時に「宅建」の資格を取得していた関係で「大建ホーム」に回されたとのことです。
その大建ホームも2年で辞め家業に戻りました。
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「山神材木店」と言えばなんといっても「瓦版」と「瓦せんべい」が有名です。
「瓦版」は写真の通り月1回の「マンスリーニュース」のことです。
すでに発刊以来20年ほど経過し、4月20日号で189号に達しています。
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普段は中々営業に廻れないから得意先への情報発信としてスタートしたそうです。
「得意先の大工・工務店さんへのサポートというか 施主獲得への一助にでもなればと思っている」
牧牛はてっきりFAX通信だと思ったのですが
「郵送もしくは持参です」
と久保社長。
インターネット・ホームページ全盛時代に敢えて逆らい、
文章も手書き、手作りの瓦版です。
「そのほうが心が伝わるから」
と久保社長。
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「今もなお昔ながらの商売形態ですが扱い品目が変わった。
住宅機器や建材類が売上の70%を、純粋の木材は30%を切っている」
と久保社長。
転機は建材問屋のジューテックが震災前に神戸に進出した時だそうです。
「かつては分譲住宅も手がけた。トータルで100棟以上やったかな」
と矛先を叔母上に向けて棟数を確認されました。
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山神材木店のPRをお願いしました。
「お客様の利益を第一に考え、お客さんと一緒になって商売をする。
メーカーのショールームを活用して相談会を開いたりもした。
『瓦版』もその一環で、施主の掘り起し作戦は常にやってきたつもりだ。
迅速に配達しあらゆる相談にも応じたい。
その為にも『もっともっと勉強して知識を増やさないと』」
と謙虚で前向きなコメントでした。
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兵庫区下沢通5丁目周辺は駅からも近くビジネス街ながら閑静な住宅街でもあります。
「当社は角地という地理的なメリットもあり地域の方もたくさん来られます。
一般ユーザーへの対応も怠っていませんよ」
と久保社長。
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因みに、前述の「瓦せんべい」は山神のネームが入った特注せんべいのことです。
牧牛も食したことがあります。
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最後に伺った久保社長の趣味にはビックリしました。
60年の人生で初めて出会った趣味、それは「貝の蒐集」です。
かつて、神戸の木霊祭でも標本類を展示されたことがあるそうです。
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ご子息の理科工作の宿題を手伝ったのがきっかけだそうです。
1990年のことです。
現在は約2000種類の貝殻を標本にされています。
「まだまだ少ない、目標は5000種類や」
生きた貝を標本にするわけですから叔母上が語る。
「そりゃーくさい臭い。
標本にする過程が臭いのなんのって。
奥さんからも嫌がられてね」
の言葉には説得力があります。
確かに、貝の腐った匂いは耐えられない臭さです。
「沖縄や奄美大島等の遠いところにも行って集めるから結構時間とお金がかかる。
海老網から引き上げられた魚クズのゴミの中から漁ることもあります。
まるで○○みたいですよ。
海に潜っても探します。日本では約8000種、世界で約12万種の貝が存在します。
私は日本貝類学会の会員になっており月1回の会合にも出ますよ」
と目を輝かせて話してくださいました。
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事務所の2階に標本があるというので事務の笹野昭恵さんと一緒に拝見しました。
とにかく驚きました。
そして感動しました。
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久保社長、長時間ありがとうございました。
木材の話より後半に伺った貝の話の方にウエイトが移ってしまいました。
申し訳ございません。
でも、感動しました。
取材日:2011年5月7日