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第32回 :株式会社西村

神戸の材木屋さん
第32回:株式会社西村
                                                  本社:神戸市中央区長狭通5丁目2-19
                                                  チップ工場:兵庫県朝来市多々良木420-8
 
 こんにちは牧牛です。
 さて、今回の訪問先は朝来市多々良木の㈱西村さんです。取材日は令和2年3月23日月曜日の午後、インタビューに応じて下さったのは会長の西村公秀さんです。社長はご子息の西村嶺さん、本日は山でお仕事だと伺いました。
 兵庫県朝来市は天空の城「竹田城址」で有名ですが、牧牛には初めての土地。大阪市内から車でどれぐらいかかるか少し不安でしたがナビに従って無事到着、約2時間半のドライブでした。途中、生野銀山の標識を見つけました。中国道から播但道を経由して朝来市に入り、多々良木川のほとりに㈱西村さんの工場を見つけました。チップ工場に隣接する山の斜面には伐採された大量の丸太が積まれていました。神戸木材業協同組合の組合員さんだと聞いていましたが、今までの取材先とは少しイメージが違っていました。名刺を頂きましたが「総合森林コンサルタント」とあります。年商は15億円だと伺いました。
 創業者は西村公秀会長、昭和42年神戸生まれ。学校を出てから就いた仕事が土木関係、競争が激しく先が見通せなかった業界だと伺いました。時代は京都議定書が世に出た頃、地球の環境問題が大きくクローズアップされてきた頃と重なります。先のことを考え、山関係の仕事を探したそうです。土木の仕事では治山やダム関係の仕事もこなされました。
ストックヤード
 西村会長の話はとても興味深く、話すテンポも速い。チェーンソー1本で商売ができる。「山は化ける、山を買ってみよう」と思い立ちすぐに実行。1か月で転売、2倍半の価格で売れた。全国の山の入札に参加したい。その為には体裁も整えなくてはと思い、西村さんは20歳で株式会社西村を立ち上げました。
 「日本一になりたい。日本一と言えば富士山だ」との思いが高じて静岡県に拠点を構えました。富士山は国有林、国の管轄です、桧の良材の産地だという。山の入札は役所仕事。実績がなければ入札に参加できない。3年間は実績作り,下積みの修業を続けました。
 西村会長は全国の山の入札に参加しました。既存の業者、地元の業者との軋轢やもめごとも多々ありました。山の入札も既得権益に守られた弊社社会が長く続いていました。そこにぽっと出の㈱西村が参入したのです。「よそ者!富士山から出ていけ!」と罵られ、排除され続けました。負けず嫌いな西村会長はとことん戦いました。勝つまでやるのが彼のやり方です。徹底的にやりあいました。やりあったあとは仲良くなり「これからみんなで富士山を守っていこう」となる。「昔の極道の社会と同じ。平成の百姓一揆だ」と西村会長は話す。
これ程大きなチェーンソーは珍しい
 西村会長の流儀で本州の山を10年ほどで制覇されました。伐採面積は年間で約200ha、兵庫県ではトップだと自負されています。ゴルフ場の開発で実績を付け、ゴルフ場ではソーラー発電までやり遂げました。今では1000ha近い山を所有、神戸市についで2位だそうです。人ができないことをウチのチームはやる。山を買い、伐採する。そしてチップにして販売する。チップだけで年5万トン。販売先はひも付きではない。全国区で頑張っていたが兵庫県森連から帰ってきてくれの「帰れ!コール」を受けたのです。
 10年前にバイオマスの時代が来ると思った。誰も信じてくれなかったが・・・
 現在、チップ工場の横にバイオマス発電の設備を建設している。バイオマスはソーラーや風力と違って調整可能エネルギー、一番安定している。ソーラーや風力は天候に左右され引き取り手の電力会社も困っている。安定的に電力が供給できるのが強みだ。県内の山から出てきた木を使う、地産地消、それに小型化。1000kwの発電量だが採算は2000kw当たりが一番良い。
 山から出てきた木をここ朝来の工場でチップにする。諸経費を考えるとここでつぶすのが一番安い。良材は選別して市場に売る。市場で売れ残ればこちらで引き取る。市場とは共存共栄だ。
 当社は山主であり伐採業者(ベンツのエンジンを積んだ高性能林業機械も多数所有)であり加工業者(チップ工場)あり運送業者(自社でトラック所有)でもある。そして発電(目下建設中)する。全部自社でこなす。一気通貫、地方創生産業だと思っている。社員は40名ぐらい。社長(ご子息)のチームは山に入って伐採中です。
チップの運搬
建設中のバイオマス発電所
 最後に西村会長は林業の担い手不足対策について言及されました。どの業界でも人手不足に悩んでいる。特に林業は高齢化が追い打ちをかけている。他人ごとではない。
 西村会長は「日本一は富士山、世界一はエベレスト。一番、そこには何かがある」の信念でネパールから海外留学生を受け入れています。その留学生はエベレストの登頂ガイドさん。エベレストに登頂した若手8人が目下同社で研修中だという。標高3800メーターのネパールで培ったシェルパ族。身体能力は異常に高い。ボルダリングのオリンピックネパール代表も同社で働いていたそうです。西村会長はエベレストの登頂ガイドに多額の寄付を行っています。近い将来ネパールで日本語学校を作るのが夢だそうです。
 種苗はもちろん農業や養殖業の世界にも進出する計画をお持ちです。名刺の裏には、全省庁統一資格・特定建設業許可・産業廃棄物収集運搬業・宅地建物取引業・農業生産法人・林産物売払登録番号・合法性持続可能性認定番号・林業種苗生産事業者の資格が列記されています。
 西村会長の「平和を求めるなら戦うことを忘れたらあかん。戦ったあとは愛情をもって接する」の言葉は胸に響きました。
 
 長時間ありがとうございました。印象的なインタビューでした。残念ながら西村会長は写真が苦手、顔写真は撮らせてもらえませんでした。
神戸木材業協同組合
〒652-0803
兵庫県神戸市兵庫区大開通2-3-18 木材会館4階

TEL.078-335-5028
FAX.078-577-3432

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