第11回
三祐木材株式会社
(神戸市須磨区多井畑池の奥)
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こんにちは牧牛(ぼくぎゅう)です。
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今回の訪問先は神戸市須磨区多井畑池の奥上11-1の三祐木材株式会社、
応対して下さったのは社長の小林進さんです。
大阪人の牧牛にとって須磨と言えばロマンティックな「源氏物語」か「平家物語」の世界であり、
淡路島を望む海水浴場と水族館のある風光明媚な地域、
というイメージです。
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三祐木材(株)は昭和26年、
現社長のお父上である小林由明氏が創業されました。
昭和4年生まれの小林由明氏はご健在、
ゴルフがお上手で牧牛も以前ご一緒したことがあります。
創業地は神戸市長田区、
新長田駅「若松公園」の鉄人28号モニュメント像の北側だそうです。
お父上は兵庫県の宍粟市出身、
神戸のミツワ材木店さんや田中木材商会さんで修業ののち独立開業されました。
現在の須磨に本店を移したのは昭和63年のことです。
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小林進社長は昭和29年生まれ、
甲南大学経営学部卒。
大学卒業後大克木材で1年半ほど修業したあと積水ハウスで3年間、
住宅の営業に専念したそうです。
「3年間で24〜5棟売ったかな。
当時としてはまあまあの成績だった。
ハウスメーカーの営業マンは3ヶ月ゼロだったら辞めるのが普通。
それ程厳しかったよ。」
昭和56年に家業の三祐木材に戻りました。
「今も昔も大工・工務店さんへの商売が主流です。
典型的な仲買です。」
と小林社長。
平成12年、46歳の時に社長に就任されました。
現在はパートを含めて20人の体制です。
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牧牛は大阪の仲買さんをよく知っていますが20人の社員を抱えている仲買さんは極めて少ない。
5人以内がほとんどです。
インタビューを進めます。
朴訥とした語り口の小林社長は淡々と語ります。
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「材木屋は木材の運び屋だけではダメだ。」
と牧牛が議論をふっかけると
「ウチは材料の運び屋に徹しています。」
と反論されました。
1.運送機能
2.倉庫機能
3.加工機能
の三つの機能が大きなテーマだと常々社員に言っている。
運送は早くきめ細かく、
倉庫機能としては多品種の在庫を豊富に持ちすばやく対応する、
木材を加工して提供することにより現場の造作を楽にする。
従来は悪いイメージだったことを逆手にとって営業を進めている。
「工務店の営業支援策の一つだと思っているし工務店が仕事をとることがこちらの仕事に繋がると確信している。」
と小林社長。
その為の倉庫は広く大きく整理整頓が行き届き、
製材機・加工機が配備されています。
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工務店への支援策はこれだけではありません。
メーカーのショールームを活用したリフォーム相談会は企画して場を提供してお手伝いまでします。
加えて、
住友林業のイノス神戸支部、
カネカのソーラーサーキット(外断熱工法)、
瑕疵担保・完成保証等の住宅安心保険の取次ぎ等々、
三祐木材が繰り出す工務店への支援策は枚挙に暇がありません。
「顧客第一主義です」
と小林社長。
顧客とは大工・工務店を指します。
「良いものを提供する=良い住宅の提供=一般ユーザーへの貢献
に繋がります。」
と小林社長。
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小林社長は2級建築士の資格をお持ちです。
社員の中にも2級建築士1名と2名の木造建築士がいます。
「みんな勉強して取得した。
今回も木造建築士の学科は4人パスした、
が、製図が通りにくい。
毎年試験は難しくなっているしこれからもっと難しくなるだろう。」
仲買さんでこれほどまでに建築士がいる会社も珍しい。
「プレカットのCADは当社が自分で入力しています」
の言葉を聞いて牧牛は正直驚きました。
小林社長は
「当時、プレカット工場以外でCADのソフトを買ったのはお宅だけや。」
と言われたそうです。
そりゃそうでしょう。
でも素晴らしいことですね。
「入力ミス、打ち合せミスはすべて三祐が請け負っている。」
これも工務店への支援策の一つです。
だから建築士が大勢いるのも納得。
工務店も安心する筈。
仕入はすべてキャッシュです。
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「女性社員が多いのがわが社の特徴です」
と小林社長。
女子社員は5名。
「女性が活躍できる職場にしたい。
育児休暇を取得して職場復帰した人が2名いる。
CAD入力も女性、
ホームページ担当も女性です。
男女ともに定着率が高いのが自慢です。」
と小出しに興味深い話題が出てくるのが小林社長の特徴でもあります。
「材木屋で育児休暇を取得、それも1年とって再び職場に復帰する。」
素晴らしい会社ですね。
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苦しい時を伺いました。
「ここ1〜2年が一番苦しいかな。
年商が約7億円にまで減少したからね。得意先は神戸市内が中心です。」
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小林社長の趣味は剣道です。
中学から大学まで剣道部に所属し段位は7段。
7段と言えばどれ位強いのでしょうか。
因みに剣道の最高位は8段だそうです。
神戸木材業協同組合の副理事長に神戸木材仲買協同組合の専務理事、
業界のお世話も熱心にされています。
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小林社長、
暮の押し詰まった日に長時間ありがとうございました。
取材日:2010年12月28日