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第14回 株式会社名田商店

第14回

株式会社名田商店

(神戸市長田区苅藻島町3丁目3番18号)

 

 

こんにちは牧牛(ぼくぎゅう)です。

今回の取材先は神戸市長田区苅藻島町3-3-18株式会社名田商店さんです。
お邪魔したのは10月26日の昼下がり、
インタビューに応じて下さったのは社長の名田英雄さんです。

 

 名田社長 

 

名田商店といえば神戸では最大手の木材問屋さんです。
苅藻島の本社営業部の社屋前には水面が広がり、
豪華なプレジャーボートがぎっしりと係留されています。
牧牛もかつては材木屋、大阪住之江区の平林で原木問屋を営んでいました。
その関係で幾度か苅藻島の材木屋さんに営業訪問したことがあります。
当時の水面には原木丸太が溢れかえっていました。
20年以上前のことですが隔世の感があります。

 

本社前のマリーナ 

 

名田社長は開口一番
「君とこの先代の島崎良平氏に箕面の土地を紹介してもらった。
 今の大阪支店です。もう40年以上前になるなあ。」

と話して下さいました。
牧牛の今の本職は木材業界新聞(東洋木材新聞)の発行です。
昭和9年創刊、牧牛で4代目。
先代の島崎良平(牧牛の叔父)は昭和25年から約50年間、
木材業界の神戸方面をずーっと担当していましたから名田商店さんとの歴史は極めて長いのです。

 

 ◆

 

名田商店さんのルーツというか歴史をうかがいました。
創業者は現社長の父上・名田冨士雄さん。
大正3年6月に姫路の飾磨で7人兄弟の4男として生まれました。
尋常高等小学校を卒業して昭和4年、15歳で兵庫の釘谷商店に奉公にあがりました。
仕事に励みつつ夜間高校に5年間通い簿記を習得されました。

 

 ◆

 

昭和15年には軍隊に徴用されましたが体が弱かったため内地勤務だったそうです。
終戦後の昭和21年の暮頃から木材の扱いを再開し昭和22年1月、
兵庫区船大工町で木材商名田商店を開業されました。
その当時の思い出話をお父上から聞いていた名田英雄社長は次のように話して下さいました。
「当時、お金がなくて自己資金が5万円。
なんとかかき集めて17万円の資本でスタートした。
 事務所を建てるお金もなく土地も坪200円で借りた。」

法人改組は昭和27年1月12日です。
商売は仲買・小売業からスターしました。
扱い品目は徳島のスギの間板(ケンイタ)が多かったそうです。
間(けん)とは業界用語で1間(約1800センチ)のことです。

 

 ◆

 

創業者の名田冨士雄さんは平成15年にお亡くなりになりました。
前述した島崎良平が追悼文を東洋木材新聞(同年5月5日号)に載せているので紹介します。
『去る4月17日午前0時19分、名田冨士雄氏が逝去された。
享年90歳であった。
生者必滅会者定離とは言え
神戸木材業界にとっては正に“巨星墜つ”の感がする。
名田会長は大正3年6月29日生まれの五黄の寅。
名将のもとに弱卒なしの譬通り、
吉田・三木・岡本の名番頭トリオと共に当初、
阿波杉三分板を中心に一般建築用材の販売で地盤を築き、
集荷協組の主力市売問屋として躍進の一途を辿った。
昭和43年4月、長田区苅藻島に市場が一本化し初代理事長に就任。
平成元年2月に社長を英雄氏に譲り取締役会長に就き、扇港業界の要職を歴任。
平成8年11月には業界振興の功績により勲四等瑞宝章を受章している。
生来、竹を割ったような性格で負けず嫌い。
 本音でモノを言う反面、面倒見がよく業界のリーダーとして慈父の如く親しまれ人望があり義理堅い人だった。』

 

  市場

 

 

名田英雄社長は昭和17年生まれ。男1人、妹3人の4人兄妹。
甲南大学経済学部を卒業後、
東京の納材業を営む材木屋さんで2年間修業を積まれ、
昭和41年家業に戻られました。
開業当時は仲買業だったのですが昭和28年ごろから問屋業への転進が始まり、
今では名田商店といえば「木材製品問屋」として有名です。
建材類を扱いだしたのは名田英雄氏が東京から戻られた昭和41年4月から。
松下(パナソニック)の代理店としてスタートしました。

 

 

事業の方も大きく広がり支店開設が続きました。
まず、昭和36年に姫路支店、
昭和41年秋に西宮支店、
昭和46年には前述の箕面支店(現大阪支店)、
昭和48年には西神戸支店を開設、
昭和63年にナイスの滋賀市場内に滋賀営業所を開設しました。
名田商店さんの売上構成は60%が木材製品(内外材70%、内地材30%)、
合板・建材類が40%です。

 

  プレカットの現場 

 

前述の追悼文にもあったように名田商店は神戸木材市売協同組合の中核問屋(昭和43年13社でスタートしたが現在の問屋は2社)です。
その神戸木材市売協同組合はプレカット事業も営み名田商店からの発注は8割を超えているという。

 

 ◆

 

名田社長はどちらかといえば寡黙なタイプですが本音でモノを言うのは父親譲りでしょう。
「思い出話をお願いします」
という牧牛の願いに
「いろいろ難儀なことはあったが社員と得意先のお蔭でここまでやってこれた。
なんといってもプレカットに参入したことが大きい。
お客さんあっての名田商店
仕入れ力には自信がある。

と答えて下さいました。

 

 

一般消費者に向けては
「もう少し内地材を使って欲しい。が、急激な円高は内地材への逆風だ」
と話して下さいました。
今後は建築の分野への参入も模索されているそうです。

 

   事務所内 

 

長時間有難うございました。今後益々健康に留意され、ご活躍ください。

取材日:2011年10月26日

神戸木材業協同組合
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