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第4回 株式会社大垣

第4回
株式会社大垣
(神戸市兵庫区上沢通)

こんにちは牧牛(ぼくぎゅう)です。

 

今回の訪問先は神戸市兵庫区上沢通1丁目1-16の株式会社大垣さんです。
応対して下さったのは社長の大垣清明さんです。

大垣清明社長

阪神電車(阪急でも同じ)新開地駅で乗り換え神戸電鉄湊川駅から徒歩数分で大垣さんの会社に到着しました。
牧牛の悪い癖ですがどうしても大阪人の目で神戸を眺めてしまいます。
土地柄としての「新開地」は大阪の「新世界」とどうもダブってしまいます。
大垣社長に教えていただいたのですが、
かつて新開地は神戸一の歓楽街でした。
1912年(大正2年)に東京の帝劇を模して創られた「聚楽館(しゅうらくかん)」は新開地のランドマークとして市民に愛され、
子供たちが「ええとこ・ええとこ」と歌に歌ったそうです。
時が流れ、
「通天閣」で知られる新世界がキタやミナミにその地位を奪われたように、
神戸の繁華街も三宮・元町周辺に移ってしまいました。
現在、
聚楽館の跡地には「ラウンドワン」というボウリング場が建っています。

 

前置きが長くなりましたが本題に入ります。

 

創業者は現社長の祖父に当たる大垣照幸さんです。
昭和3年、神戸市林田区野田町で開業されました。
今は林田区なんて存在しません。
長田区に併合されたそうです。
大垣家は元々岡山県玉島出身、
開業当時は樽丸太用材の販売が主だったと聞きます。
戦争中の統制経済を経て昭和21年1月、
終戦後、
まだ焼け跡が散在するさ中に大垣木材店は再開。
同22年4月、現在の地・湊川に移転しました。
同26年に法人改組、
同37年父上の大垣勇氏が二代目社長に就任しました。
大垣清明氏が社長に就任したのが平成9年、
就任と同時に社名も株式会社大垣と改めました。
社名変更にまつわる物語は後述します。

 

同社の商売はもともと大工・工務店さんに一般建築材を販売する典型的な仲買さんでした。
「でした」と過去形にしたのには訳があります。
現在の同社の売上比率は圧倒的に建築関係が多いのです。
木材業というより建築業といっても過言ではありません。

大垣社長と倉庫内

大垣清明さんは昭和25年9月生まれ。
滝川中学・高校から近畿大学商経学部に進まれ、
卒業と同時に家業に就かれました。
高校2年の時、ロータリークラブの交換留学生として1年間、
アメリカはニューヨーク州のレイクジョージという人口1500人の街で過ごされました。
「一生の良い思い出。人生観が変った。積極性が身についた」
と若かりし頃のアメリカ生活を述懐してくださいました。

 



「このままではあかん、売上も落ちる一方や。何とかしなくては」
と危機感を募らせ、少しずつ建築分野に参入していったそうです。

-

30年くらい前の話です。
仲買さんが建築をやるということは得意先である大工・工務店さんの仕事を奪う事になります。
得意先を守る、流通のルールを守るという観点から建築業には参入しないとする仲買さんもたくさんあります。
が、大垣社長は違ったのです。
「隠れてやらずに堂々とやろう」

として別会社を設立しました。
昭和57年に設立したその会社名が「大棟(だいとう)」です。
平成8年に社名変更したとき株式会社大垣と合併しました。
時代の流れ、流通構造の変化により仲買さんが従来どおりの商売で飯を食うことが至難な時代になってしまいました。
大阪の仲買さんでも建築業に進出した会社は比較的元気です。
それにしても勇気のいる決断ですね。

 設計室

 

当初は新築工事専門で建売住宅はなし。
請負工事ばかりだったそうです。
ジャンルは木造とS造。
神戸の大震災でも倒壊は1軒もなかったそうです。
建築業界も変化が激しい業界です。
そして同社の主流も「リフォーム」に移りました。
JA(農協)の賃貸住宅のリフォームとホームセンターが発注するリフォームが多いと大垣社長。
ホームセンターはある意味で材木屋の敵ですが、
一般ユーザーは得てしてホームセンターに足を向けます。
リフォーム等の窓口を設置しているホームセンターも多く、
大工さんのOBあたりがその担当を担っているそうです。
ホームセンターの営業力は侮れませんね。

 

 



大垣清明社長は現在(2009年1月時点)、
神戸木材仲買協同組合の理事長の要職にあります。
兵庫県木材青年クラブ会長、
日本木材青壮年団体連合会副会長、
日本木青連近畿地区協議会会長を歴任されました。
「次は神戸木材業協同組合の理事長、そして兵庫県木連会長ですね」
と牧牛が突っ込みましたら
「なんでやねん!松野さん(カルモ木材社長)が先や!」
と大きな地声でかえってきました。

執務中の事務所内

今後について伺いました。


「耐震はもちろん、
断熱、ソーラー等『エコ』に対してどう取り組むかだ。
10年保証は当たり前のこと。
普通にやればOKだと思う。
要はクレームの少ない家を提供してお客様にどう満足していただくかだ。

 

また材木屋にたいしては、
「新しいことに対応する意欲が欠如している。
すべて二番煎じになっている。
もっと情報を積極的につかむ努力をして欲しい。
2645m2の病院の外断熱をやったが、
今自分が一番興味を持っているのは外断熱だ。」

と、きわめて意欲的です。
本日のインタビュー終了後は輸出用コンテナの内装工事の打ち合わせに行くそうです。

事務所玄関前にて

声が大きくいかにも陽性な大垣社長ですが、
24歳の時に悲しい出来事が起こりました。
帯鋸で左手を手首から切断したのです。
「奈落の底に落ちた。立ち直れないと思った。」
残念なことに大垣さんは左ききだったのです。
「これで木は担げない」
との思いが建築に取組むきっかけにもなったそうです。

 

 



 

「楽しかった思い出は 木青連で全国に友人ができたこと。
高校時代のアメリカ留学で プラス思考になったことが今に活かされていると思うよ。
 大学時代は英語力を買われて
旅行者の添乗員のアルバイトをやった。
これも楽しかった。
趣味はテニスだったが娘に負けてからやめた。」

 

 

 

ご子息の仁志さんも家業に入られています。

 

大垣社長、長時間ありがとうございました。

 

 

 

取材日:2009年1月24日

 



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